もじりすた
3度のめしより本が好き
読み散らかした中から、おすすめ本を紹介します。
弁護士の筧と美容師の矢吹の二人が暮らす日々を、
食事を主軸として描いた漫画です。
ちなみに筧と矢吹は両方とも男性でゲイのカップルです。
ですので最初はその設定がストーリーを底上げするための仕掛けに見えて、
なかなか食指が動かなかったのですが、読んで反省。本当におもしろい。
そして美味しそう。
二人が暮らす中で、さまざまな出来事が起こり、過ぎて行く。
それをユーモアたっぷりに、時にはじんとさせながら、
料理が大の趣味である、筧が毎日作る料理とからまりながら話が流れていきます。
一話で完結する話がほとんどで、その中心にはかならず何かの料理があります。
いちごジャム、トマトとツナのぶっかけそうめん、栗ごはん、などなど。
作中では筧自身が順を追ってきちんと料理をするので、レシピとしても読めるほどです。
しかしこの料理にうまく話がからむことからむこと。
美味しそうな料理を思い出すと同時に、ああこんな話だったな〜とくすくす
思い出し笑いが出てしまうほどです。
そして料理はもちろんですが、出てくる人達がみんな面白い。
「いるいるこういうタイプ」と思わせるような親近感を抱くタイプでもあり、
そのくせ漫画ならではの「こういう人がいたらいいのに or 大変!」
という夢も合わせ持っている、ものすごくいい塩梅の登場人物の目白押しです。
特に私が好きなのは、筧が唯一親密にメールを交わす女性、佳代子さんです。
筧の料理仲間でもあり、とてもいい距離感で話をきいてくれる友達でもあります。
筧が家族について悩んでいる時に相談すると、いつも小気味のいいセリフがかえってきます。
そうだよ佳代子さん、その通りだよ!と思わず本を持つ手に力が入ります。
色々あっても美味しい物が食べられるってとても幸せ。
そんな作者の気持ちがストレートにこもっている、
読んでいるこちらももちろん幸せになれる本でした。