もじりすた
3度のめしより本が好き
読み散らかした中から、おすすめ本を紹介します。
ロボット小説とはいえ、これにはSFならではの小難しい単語や
ややこしい設定はいっさい出て来ません。
小説の舞台はちょっと未来のイギリス。
無職のベンと、バリバリのキャリアウーマンのエイミーが
暮らす家の庭に、ひょっこりロボットが現れる所から話が始まります。
ロボットの見た目はがらくた同然。
中身は幼児のような知能しかなく、
捨てて来いというエイミーに反発してロボットをかくまったベンは、
なんとロボットもろともエイミーに捨てられます。
傷心で無職のベンは一路、ロボットを直す旅に出るのです。
とまあ、ダメ男と子供ロボットの旅物語というわけなのですが、
これがまあなんだかとっても面白いのです。
飛行機に乗るエピソードからホテルに泊まるシーンに至るまで、
細かいところで読み手をくすくすと笑わせます。
もしくはふふふと口元がゆるんでしまうのです。
ベンの人の良さと、ロボットであるタングの愛らしさが
ぐいぐいと小説世界へと引っ張ります。
ダメ男とロボットの旅は本当に楽しそうで、
最後には小説世界から別れるのが本当に惜しいくらい。
その楽しさは昼下がりのディズニーランドのパレードのように、
読者をわくわくとどきどきさせ、そして最後まで幸せにしてくれます。
どぎつい刺激はもうたくさん、
あたたかくて素敵なお話で和みたいの!という人に
本当におすすめの小説です。