おすすめ本 -書評-

  • 16.11.20
    WHAT IS SAPEUR ?


  • おしゃれの力を感じる本です。
     
    初めてその姿を目にした時の衝撃は今でも忘れられません。
    乾いたアフリカの土地に並ぶバラック。
    どうみても生活が苦しそうな場所。
    そこに現れた、色とりどりのスーツを着こなした男達。
    荒れ地に咲く花、と言っても過言ではないほど、
    その姿は長い間、私の脳裏に焼き付いていました。
    「一体何者?」
    その疑問に答えてくれたのが、この本でした。
     
    SAPEUR(サプール)とは、
    コンゴ共和国で色とりどりスーツを着こなし、
    おしゃれを独自に楽しむ紳士のこと。
    しかしコンゴ共和国は豊かな国ではありません。
    貧しい、といっても過言ではないでしょう。
    内戦も経験し、日々の生活を考えれば、
    ブランドスーツにうつつをぬかしている場合では
    ないのが実際でしょう。
    なのにどうしてそんなにおしゃれなのか?
     
    それはサプールが、ただの「おしゃれな人」ではないからです。
    「おしゃれ」を通して人としての品位を保ち、
    人々の模範となり、楽しませ、あこがれとして存在する。
    だからサプールとして外出する際には、
    細心の注意を払い、一種の儀式のように時間をかけて準備をします。
    散髪し、シャワーを浴び、コーディネートを考え抜き、
    シャツにはシワ1つ許さず、背筋を伸ばしてスーツを着る。
    そして紳士の振る舞いを忘れず、暴力は決して許さない。
    そう、まさにおしゃれを通して生き様を体現しているのです。
     
    生き様としての「おしゃれ」。
    そんな難しいことを考えずとも、美しいものは美しいです。
    ぜひこの本でサプールの世界を堪能してみて下さい。
    ほんっっっっとうにカッコいいんだから!



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