おすすめ本 -書評-

  • 15.07.22
    くいいじ
    安野モヨコ

  • いいタイトルの本に外れは少ない、
    いやもちろん100%じゃないのは分かっているのですが、
    それでもやはり素敵なタイトルの本は思わず手に取って見てしまいます。
    そして装丁もまたしかり。
    そんなタイトル、装丁ともに素敵な「くいいじ」は、
    漫画家である安野モヨコさんの食べ物に関するエッセイです。
     
    「おなかすいた!」が口癖と言われる著者による56編のエッセイは、
    もちろん全てが食べ物に関する物。
    内容は食材や料理のうんちくに関するものというよりも、
    色々な「食べ物」に対する著者の距離の置き方と言えばいいでしょうか。
    実際生活している上でどんなものを食べて考えているのかが、
    ユーモアたっぷりに書かれています。
     
    特に私が好きなのは『葉山牛』のくだり。
    著者は着物が着るのが好きで、レストランに行くこの日は
    いつもよりもきっちり着付けをして行ったところ…非常に苦しい。
    これは家に帰って着物を脱ぐしかない。
    しかしそれでは葉山牛を食べそこねてしまう!
    それは絶対に嫌だ、しかし…!
     
    そう、料理そのものよりも、料理にまつわるエピソードが多いでしょうか。
    ですがそのせいでよけいに料理に対する想いや興味が伝わってきます。
    編集の人の手土産の上手下手について考察したり、
    締め切り前の食欲について語ったり、
    エア料理にはまってみたり、バーベキューに憧れたり。
    漫画家ならではのエピソードはもちろん、
    食に対する前向きでアグレッシブな姿勢は
    まさに「くいいじ」というタイトルにふさわしい内容ばかりです。
     
    そんな読者サービス全開の本書、
    読んでいると食欲がむくむくとわきあがって来ること請け合いです。
    ああ、豆ごはん食べたいな…。



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