おすすめ本 -書評-

  • 16.08.14
    らも
    中島美代子

  •  
    人は人を独り占めすることなんてできないよ。(『らも』より)
     
     
    小説家、エッセイスト、脚本家として有名な
    中島らもさんの奥様、ミーさんの回想録です。
     
    らもファンならご存知、らもさんの愛妻ミーさんが書いた本と
    あっては読まずにいられません。
    とはいえ、読む前には少し不安もありました。
    なにしろ私、らもさんの本はほとんど読破しているファン。
    それほど「らも氏の書く本」がとてもとても好きな故に、
    「らもさんじゃない人が書いた本」を好意的に受け止められるか、
    少々不安だったのです。
      
    でも、読んでみてそれが杞憂だとすぐにわかりました。

    らもさんはミーさんが好きで、ミーさんもらもさんが好き。
    もうこれ以上に言葉がありません。
    もちろん、らもさんのエッセイを読んでいる人には、
    「ああ、これがあの時の裏話だな」と分かるので、
    そういったネタバレ的な意味でも楽しめます。
    でも、むしろこの本は「中島らもを支えた奥さんの器のデカさ」が
    これでもかと行間からにじみでているので、
    らもさん云々というよりも、『一人のすごい女性』という意味で、
    読み進めるほどに頭が下がるほど。
     
    特に冒頭に挙げた一言。
    『人は人を独り占めすることなんてできないよ』
    これ、並大抵の人にはなかなか言えることではないと思うのです。
    自分という自由な生き物、そして心の底から愛する相手、
    その二つを理解して暖かいまなざしで相手を見、
    なおかつ傷つくことを恐れず、時には我慢する心を持ってはじめて、
    このセリフが言えるのではないでしょうか。
     
    こんな奥さんだったから、らもさんは大好きだったんだな。
    心にしみる一冊でした。



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