おすすめ本 -書評-

  • 14.10.17
    乳と卵
    川上未映子

  • 芥川賞受賞作、なーんて聞くとちょっと敷居が高いような気がしちゃいますが、
    そんなのは空のかなたにうっちゃうほど面白いです。
    (あ、この言い方だと、芥川賞受賞作は面白くないって言ってるみたいですね)
     
    主人公の「わたし」には姉がおり、その姉である巻子が
    娘の緑子と一緒にわたしのアパートに来るという話。
    しかもそれはたった二泊三日のことで、
    さらにその目的が皆目見当のつかない巻子の豊胸手術のため、
    というのが最高なのです。
     
    で、緑子は思春期の女子であり、スナックにつとめる巻子とうまくいっていない、
    と聞くと「なんだ、よくありがちな陰気な話ね」と思ったそこのアナタ!甘い!
    巻子の豊胸に対するパワーでそんなチンケな陰気さはすっとびます。
    かと言って、なーんの内容もないうすっぺらい話じゃございません。
    パワーと繊細さ、荒々しさと柔らかさが混然一体となって、
    大阪弁のステキなリズムでつるつると小説の中に誘ってくれるのです。
     
    というわけで、今まで純文学というカンムリのついた、
    しかつめらしい本は読んだことないんだよね?という人に、
    とってもおススメの一品です。
    へたなエンタメ小説なんかより、ずっとわくわくできますぜ。
     
    追記:
    緑子が話さない、というのを見て、私は映画「リトル・ミス・サンシャイン」を思い出しました。
    だいだいだーい好きな映画なんですが、思春期の子供がしゃべらないというスタイルは、
    古今東西普遍的な方法なんでしょうか。
    私もやってた!という方、ぜひご一報くださいませ。
     
     
    全然関係ないけど、
    著者川上氏がえっらい美人だと度胆と抜かれた度:☆☆☆☆☆ 星5つ!!!満点!



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