おすすめ本 -書評-

  • 14.11.06
    悪い娘の悪戯 
    マリオ・バルガス=リョサ

  • ここで会ったが百年目。
    運命の出会いは図書館でした。
     
    「なにか外国文学よみたいなー」と棚の間をうろうろしている時に
    ふと目にとまったのがこの本でした。
    「なんだか重たそうな本だなぁ」
    表紙の重厚さに気圧されること数秒、とりあえず中身をぱら見すると
    あら、おもしろいんじゃないかしら。
    図書館という気軽さもあって、すぐにお持ち帰りすることにしました。
     
    そして読み始めたのが運の尽き。もう止まりません。
    ミステリでもなければ、手に汗握るドロドロの人間ドラマでもありません。
    ストーリーは本当に単純です。
    ペルーで生まれ育った純朴な青年が、ある一人の女性に恋いこがれるだけなのです。
    そんなシンプルなストーリーが、リョサの腕にかかると
    ページをめくる手が止まらない本に早変わりするのです。
     
    これは魔法なのか。
    読み終えた私はため息をつきました。
    別に難しく書いてあるわけではありません。
    かといってうすっぺらな文章で綴られているわけでもありません。
    このストーリーに一番ぴったりな言葉とリズムで書かれていたのだろうと思います。
    そしてかなり長い話にも関わらず、途中で全く飽きのこない話の展開。
    どれだけ本書くのが上手なのよ、リョサさんてば!
    (あとで知ったのですが、リョサ氏はノーベル文学賞の受賞者でした)
    何百回と図書館や本屋に出入りしていて、これまで出会わなかったのが不思議でなりません。
     
    だから私はここで大声で叫ぶのです。
    「表紙とタイトルが重たい感じだけど、全然そうじゃないんだから!
     だからといって、うすっぺらなつまらない本とは全然違うから!
     黙ってだまされたと思って読んでみて!
     ポップでキュートで、すんごいステキなんだからっ」
     
    そんなリョサ氏。どうやら作品で文体の風味がかなり変わる方のようです。
    ふふふ、楽しみすぎます。



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