もじりすた
3度のめしより本が好き
読み散らかした中から、おすすめ本を紹介します。
これはまたいい本見つけてしまった…!
著者は翻訳家なのですが、不勉強な私、
著者の本を全く知らずに読んだのですが全然問題なし。
一応これは翻訳家のエッセイと銘打っている本なのですが、
岸本氏の愉快なキャラクター全開で、
そこらのエッセイをぶっちぎりで追い抜き、
完全に針が振り切れている最高の本でした。
なにしろ面白いのです。
なにが面白いって、著者の人がものすごい変なんですよ。
(すみません、ほめています)
夜中に明かりがついていた気になる窓の家を探しに行ったり、
新幹線の「鼻」が気になったり、
サルマタケという単語一つに悶々と悩んだり。
これを例えば「あたしって変だから〜」という雰囲気で書かれたら
読んでる人も鼻白むというもんですが、岸本さんはちがう。
大真面目で本気。
そして畳み掛けるように微に入り細に入り、
描写をする文章技術が本当に見事で、
こちらが眉をひそめる前にもう肩が震え、
のどがひくひく動いてしまうのです。
中でも『「国際きのこ会館」の思ひ出』というエッセイは秀逸でした。
序盤、きのこ会館の不穏な雰囲気で始まったと思ったら、
オチに次ぐオチ、そして最後はほっと一息ついたと思ったら
最後にどどんと大きなオチへ。すごい、面白すぎる。落語家なのか。
私は食べていたご飯を鼻から吹きそうでした。
そして最後に読み終えてふと、
「もしかしたらこのエッセイ、全部嘘かも…」と
考えてしまった時の背中の薄ら寒さ。
あー、最高です。現実と夢のはざまを行き来するような不思議な予感。
それを感じさせつつ、腹をかかえて笑わせてもくれる。
表面だけじゃない、なにかを感じる面白さです。
岸本佐知子氏、これで我が家の本棚へ並ぶ事が決定です。
さあ、もうお読みの方は一緒に肩を震わせましょう。
スポアー!