もじりすた
3度のめしより本が好き
読み散らかした中から、おすすめ本を紹介します。
アマゾンでレビューがとってもよかったので読んでみたのですが、
やっぱり自分で読んでみないと分からないですね。
そんな当たり前のことを改めた実感した本です。
いや、おもしろかったんですよ。たしかに。
著者は刑事事件を扱う弁護士で、その経験を材料に、
本書に全11編の短編を書いています。
真面目な医者、戦争から命からがらドイツに逃げてきた移民、
ハーケンクロイツを刺青した男、彫刻の事が頭から離れない警備員。
現代ドイツという背景を背負った登場人物達は、
色々な事情から犯罪を犯し、また巻き込まれていきます。
話は全て犯罪をテーマにしてますが、重いものから軽いもの、
視点を加害者においているもの、そうでないものと、
様々なテイストがそろっているので、二つとして似た話はありません。
そう、おもしろいんですよ。
どうして犯罪を犯したのか、この事件はどう転がるのか、
気になってページをめくる手が止められませんでした。
しかし残念ながら、作者は芳醇な文章の書き手、というわけではなさそうです。
(もしかしたら訳者で雰囲気が変わるのかもしれませんが)
ですので、文章の奥行きや個性を味わいたいという、
百戦錬磨の読書人には少々物足りなくなるかと思います。
どちらかと言うとノンフィクション作家のような、実直で簡素な文の使い手です。
パラグラフが短く、話を引っ張ることもしないので、
時間の無い人、さっさと読みたい人、そしてミステリ大好き!
という私のような人間にはお勧めです。
特に「緑」の最後の会話。
私は思わず二度見しました。
こういう切れ味の良さ、大好きです。
ごちそうさまでした。