おすすめ本 -書評-

  • 14.10.20
    絶叫委員会
    穂村弘

  • 我らが言葉の救世主、穂村氏のエッセイです。
    何気なく日常生活で目に耳にした言葉について書いています。
     
    ふ、深いですよ、奥さん。
    穂村さんのいいところは、ぱっと見、ただのみずたまりのような
    シンプルな文章のくせに、読むとすっごく深い。
    ブ、ブラジルまで通じてるの?なんて思っちゃうこともあるくらい、
    ものすごい洞察力と感性で、読み手をぐいぐいひっぱってくれます。
     
    まじめだけどおちゃめ。
    おもしろいけど真剣。
    そんな穂村ワールド、特に今回のこの本は
    かなり面白味の強い本だと思います。
    私は読みながら、うほほほほ、と何度も笑いました。
    特に「でもさっきそうおっしゃったじゃねえか!」が大好きです。
    ふふ、書いてるそばから笑いがこぼれてしまうほどです。
     
    そんなすっごくいい本なのですが、一つだけ言いたいことが。
    こうやって強調したいところを太字にするのは卑怯では?
    卑怯、という言葉がおかしければ、読み手の気分をそぐ、と言っても構いません。
    私はすっごく嫌でした。
    たしか他のエッセイで、穂村さんがまだ若い頃、「…」を使う作家は
    好きじゃなかったという類の話を書いていました。
    うろ覚えで恐縮ですが、本気で伝えたいことがあるのならば、
    「…」など使っている場合ではないはずだ、言葉を使うべきだ、という意味だったと思います。
    で、今回の太字を見て、私は似たような気持ちを覚えたのです。
    強調したいのなら、それは文章で伝えるべきでしょう。
    太字にしなくたって、十分伝わります。
     
    なので邪推ですが、穂村さん自身は使うつもりはなかったんじゃないでしょうか。
    言葉に真摯な穂村さんがこんな姑息な手をつかうはずはない、
    出版社の意向とか……???



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