もじりすた
3度のめしより本が好き
読み散らかした中から、おすすめ本を紹介します。
我らが言葉の救世主、穂村氏のエッセイです。
何気なく日常生活で目に耳にした言葉について書いています。
ふ、深いですよ、奥さん。
穂村さんのいいところは、ぱっと見、ただのみずたまりのような
シンプルな文章のくせに、読むとすっごく深い。
ブ、ブラジルまで通じてるの?なんて思っちゃうこともあるくらい、
ものすごい洞察力と感性で、読み手をぐいぐいひっぱってくれます。
まじめだけどおちゃめ。
おもしろいけど真剣。
そんな穂村ワールド、特に今回のこの本は
かなり面白味の強い本だと思います。
私は読みながら、うほほほほ、と何度も笑いました。
特に「でもさっきそうおっしゃったじゃねえか!」が大好きです。
ふふ、書いてるそばから笑いがこぼれてしまうほどです。
そんなすっごくいい本なのですが、一つだけ言いたいことが。
こうやって強調したいところを太字にするのは卑怯では?
卑怯、という言葉がおかしければ、読み手の気分をそぐ、と言っても構いません。
私はすっごく嫌でした。
たしか他のエッセイで、穂村さんがまだ若い頃、「…」を使う作家は
好きじゃなかったという類の話を書いていました。
うろ覚えで恐縮ですが、本気で伝えたいことがあるのならば、
「…」など使っている場合ではないはずだ、言葉を使うべきだ、という意味だったと思います。
で、今回の太字を見て、私は似たような気持ちを覚えたのです。
強調したいのなら、それは文章で伝えるべきでしょう。
太字にしなくたって、十分伝わります。
なので邪推ですが、穂村さん自身は使うつもりはなかったんじゃないでしょうか。
言葉に真摯な穂村さんがこんな姑息な手をつかうはずはない、
出版社の意向とか……???