おすすめ本 -書評-

  • 16.07.21
    逢沢りく
    ほしよりこ

  • 「きょうの猫村さん」「僕とポーク」でおなじみの
    ほしよりこ氏の長編漫画です。
     
    主人公のりくは、かっこいいお父さんと素敵なお母さんに恵まれた、
    美人で特別なオーラのある中学生。
    その年頃の誰もがそうであるように、
    りくも自分に素直に生きてはいけません。
    心にどこか隙間があるのを知りながら、
    どうしてそうなるのかよくわからない。
    大人はみんな理解できず、友達は悩みを打ち明ける相手ではない。
    そんな冷めたへそ曲がりのりくですが、
    周りの人間に感化されながら少しずつ、
    時には思い切りのいい走りっぷりで逃げ出しながら成長していきます。
     
    そしてりくだけではなく、家族もまた成長していきます。
    親だからといって、完璧ではない。
    むしろりくよりも年月を経ているぶん、こじれていることもあります。
    それでも少しずつ前に進んでいく。
    もちろん現実同様、簡単には問題は解決していきませんが、
    それぞれのペースで、前に歩き出すのです。
     
    成長物語というと、いかんせん「クサく」なってしまいがちですが、
    そこはほしよりこ氏。
    笑いと上手な間でうまく登場人物を成長させます。
    途中でりくが放り込まれる、関西の環境がこれまたほんと、
    最高に愉快なのです。
    関西弁が人一倍嫌いなりくが、
    関西弁のパワーにどんどん押されていく様は、
    気がつくとくすくすと笑いっぱなしに。
     
    今現在思春期の人も、遠い昔に過ぎた人も、
    りくと一緒に、へそを曲げて一緒に走ってみませんか。



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