もじりすた
3度のめしより本が好き
読み散らかした中から、おすすめ本を紹介します。
ぜひ、今ではもういない、ブリンという名の
ピグミーウサギの写真を見てもらいたいのです。
焦げ茶色の小さなウサギは、すでに艶を失っている。
でも、美しい。
耳がかけ、あとは死を待つばかりの小さな体。
でも、美しい。
ピグミーウサギが絶滅危惧種だということで、
見ている私が必要以上に哀愁を感じているだけかもしれません。
それでも、とてもいい写真だと思うのです。
さらにこの本の素敵なところは、写真だけでなく、
写真の解説も素敵だというところです。
写真ごとに写真家自身の解説がついているのですが、
特にこのピグミーウサギが撮影場所に運ばれてくるところ、
「職員達が静かに、うやうやしいとさえ言える態度でブリンを運んでくる」。
とてもすてきな文章だと思うのです。
世界で最後の生き残りの、小さなうさぎが運ばれてくる、張りつめたその瞬間。
まるで、自分もその部屋の一員になったように感じられませんか。
写真の解説は、写真を撮った写真家自身が書いています。
そしてその日本語訳をしたのは動物学専攻の方。
本職の英文訳者、というわけではなさそうです。
しかし納得の文章です。ナショナルジオグラフィックという本、
写真の雰囲気を損なわず、ぴったりの文章をあてはめています。
うーん、すてき。
しかしこの「うやうやしい」の部分、原文がどう描かれているのか
とっても気になります。
respectful?reverent?deferential?
もしかしたら他の表現かもしれません。
直訳したのか、意訳したのか。
たかが一言。されど一言。
想像するだけで楽しくなる私は、かなりの幸せ者でしょうね。