もじりすた
3度のめしより本が好き
読み散らかした中から、おすすめ本を紹介します。
読むぞ読むぞ!と気合いを入れて読んだ本です。
だってゼロ年代の海外本格ミステリの最優秀作品ですよ?
読む前から顔がにやついちゃって困りました。
そんな本書、デス・コレクターズはカーリイ氏の長編第二作目となります。
主人公はアメリカはモビール市の市警、カーソン・ライダー。
捜査中もユーモアを忘れない好青年です。
そんな刑事が相棒と一緒に、事件を解決する話です。
本格ミステリということで、さあどうやってだましてくれるんだ?
と終始わくわくして読み進めました。
そんな本書、かるーく読めます。
主人公の一人称語り(僕)、ユーモア精神たっぷり、
というところだけではないと思うんですが、本当に気軽に読めます。
殺人事件を扱うので、気分の良くない描写があっても、
なぜか全く気になりません。
そしてこれが一番驚いたのですが、途中で読むのを止めても
まったく気にならない。ミステリなのに、です。
私は本にはまりこむと睡眠時間を削って一気読みしてしまうのですが、
おかげで毎日安眠できました。
とても面白かったのに、一体なにが私を安眠させたんでしょう。
とはいえ、大事などんでんがえしの部分、私は普通にだまされました。ころっとね。
でも、そこで「うわあああ、そこか!びっくりしたー!」と
なぜかならなかったのですよ、不思議と。
普通に「おー、犯人はあなたでしたかー」という冷静さ。
ちなみにジェフリー・ディーバー氏
(ボーン・コレクターを始めとする、リンカーン・ライムシリーズですね)
ではしょっちゅう驚かされています。
「まじで!うわ、今のやられた!!!降参!」という感じです。
なのにカーリイ氏の本ではそれがありませんでした。
一体、何が起こったんだ???
と、一晩じっくりと考えたのですが、たぶん設定のせいですね。
明るくユーモアたっぷりな好青年が語るのと、
三人称でじりじりと繊細な描写を続けて、どーんとだます。
その違いかもしれません。
ちなみにパトリシア・コーンウェルの検死官シリーズも実は一人称ですが、
語り口が真面目なので、まるで三人称のような効果があって、やはり色々と驚かされました。
あと、実はこれが一番大きい原因かもしれません。
文章が私の規格と全く合っていませんでした。
ちょくちょく文章がわかりづらいんです。
ですので読んでる途中で迷子になって、思わず現実に戻っちゃうんです。
ミステリはスピードが命。
なので本の世界から離れて現実に戻ってしまうことで、
一気読みしなくてもいい本になってしまったのかもしれません。
なんてこと書きましたけど、面白い本でした。
買って損はないミステリだと思います。
犯人の動機や種明かしも、プロットにひきずられた無理矢理感は感じませんでしたし、
出てくる人物が皆とても個性的で面白いです。
そしてなにより、ライダー刑事、愛すべき存在です。