おすすめ本 -書評-

  • 10.02.06
    夜間飛行
    サン=テグジュペリ



  • うーん。
    困ったなあ。




    いわずとしれた、星の王子さまの作者、
    サン=テグジュペリの有名小説、『夜間飛行』。
    はっきりいってタイトルだけでもうお腹いっぱい。
    ええ、すてきなんですよ。文句ないくらい美しすぎます。
    特にこの一節。ひさびさにしびれました。
    「愛されるには同情しさえすればよい」
    ああ。
    この一言でご飯が三杯は食べられるってもんですよ。


    小説は、夜間飛行を行うパイロットと
    それを管理する支配人の間を行き来します。
    その描写の繊細で叙情的で詩的なことったら。
    サン=テグジュペリを好きな人が
    やたらと熱狂的になるのもわかります。
    が。
    実はわたしはその逆なんですね?。
    きれいすぎてなんだかしっくりこないんです。
    これが「詩」だったら両手をあげてバンザイしてると思います。
    「美しい!これは夜の文章だ!」と。
    しかし、これは小説です。
    小説ならば、もっと汚くて重くて強い方が好きなんです。
    美しさのあいだに潜む、もっと黒くてどろどろしたものを見せてほしいのよ…。


    もし、わたしが10代だったら、この本を熱狂的に受け入れたでしょう。
    どうやら今のわたしはその美しさに迎合するほど若くもなく、
    かといって許せるほど大人でもないようです。
    うーん、ジレンマ☆


    ちなみに、サン=テグジュペリの本名知ってますか?
    アントワーヌ・ジャン=バチスト・マリー・ロジェ・ドサン=テグジュペリ、というそうですよ。
    じゅげむじゅげむ……。



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