もじりすた
3度のめしより本が好き
読み散らかした中から、おすすめ本を紹介します。
久しぶりに新書を読みました。
橋本治:人はなぜ「美しい」がわかるのか
別にこれは脳科学の本ではないので、
「美しさ」を感じる具体的なプロセスの検証をしているわけではありません。
著者の主観や経験から言える「美しさ」を感じる現象について、
色んな掘り下げ方をしている本、という感じです。
その中で、こんな一節がありました。
「孤独と敗北と”美しい”は妙な関連性を持っていて―」
この前後に詳しい説明があるのですが、
読んだとたんにこの本にちゅーをしたくなりました。
「わかる!そうだよね!あたしもそう思ったんだよ!」
というのもですね、以前銀座へ自転車通勤をしていた時、
毎晩東京タワーとたくさんの橋の夜景を見ながら帰っていたのです。
それがいつもひどくきれいで、そのくせとても悲しくて、
どうしてこんな気持ちになるんだろう?と不思議でしょうがなかったのです。
こんなにきれいなものを見たのに、どうして悲しくなるんだろう?と。
そこで私なりに考えたのが、「夜景」というものは何があっても
手に入れることができないから?と思ったのです。
だからどんなにキレイだからと切望しても、一生手に入れることはできない。
宝石箱の中にいれたりすることができません。
ましてやお金で買えるものでもないし、朝になったら消えてしまう。
絶対に自分の手中に収めることのできない、
手の届かない存在を欲しがっているからかな、と思ったのです。
それと同時に「こんなことを考える自分はおかしいのう」とも。
「理屈なんてこねくりまわさずに、素直にきれいって言えばいいじゃーん」
そんなことを考えてから数年。
この本を読んでなんだか気持ちが軽くなりました。
ああ。やっぱり「美しい」を感じて、理由を考えてる人がいるんだ。
よかった。