おすすめ本 -書評-

  • 10.09.21
    痴人の愛
    谷崎潤一郎

  • この本の内容はいたってカンタン。
    男が無知な女を自分好みに育てあげて
    気がついたら逆にとりこになっちゃった、です。
    はっきりいっておすすめ本です。
    というかこれだけ有名な本なのでいまさらでしょうけど、
    まだ読んでいない人はぜひとも本屋か図書館に走ってみてください。
    (ちなみにうちの近所の図書館にはありませんでした。陰影礼賛もなかった…。
     図書館よ!ハリーポッ〇ーを5冊も買うなら谷崎を買うべきでは???)
    とおすすめしておいてなんですが、わたし、
    主人公の譲治とナオミ、二人とも死ぬほど大嫌いです。



    譲治はナオミにうそをつかれても財産を食いつぶされても
    それでもナオミを好きで好きであきらめられず、
    ナオミはそんな譲治を完全に食い物にしてますます美しくなっていく。
    あああああ、読んでてこんなにいらいらした本はひさしぶりでした。
    でもですね…だからこそおもしろいのですよ、ええ。


    すごくアマノジャクな楽しみ方だと思うのですが、
    わたしにとって「おもしろい本」というは、
    決して主人公が大好きだったり読後がさっぱりしたりというわけではありません。
    どろどろねちねち、トリハダが立つほどキライな人間がでていても、
    むしろそれでも「イイ!」と思うこともあるのです。
    そこまで私を嫌わせたその筆力に一票!みたいな感じでしょうか。
    まさにこの「痴人の愛」は主人公の二人がとてもじゃないけど好きになれない。
    絶対に友達になれないタイプ、ってやつですね。


    でも、そんな大嫌いな二人が織り成す話は
    たしかに愛なのだと思います。
    若輩者のわたくしには理解できているか不安ですが、
    この話は愛というものの一つの形を描いているんじゃないか、なーんて思います。


    しかし。
    どうして図書館に谷崎潤一郎が一冊もないんだ???
    陰影礼賛が読みたいんだよう…。



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