もじりすた
3度のめしより本が好き
読み散らかした中から、おすすめ本を紹介します。
ナイスタイトル!
まさにタイトルから黒い汁が出ているようで、
本を持つ手にも力が入るというものです。
そんな今回ご紹介する本は、『グロテスク』桐野夏生。
(やっぱりなんだかテレビショッピングみたいだなあ)
あらすじはかんたん。
東電OL殺人事件をモチーフとした、女の子たちの物語。
絶世の美少女で娼婦の少女、その醜い妹、その友人を中心として、
回想録、都心の高校を舞台に話が進みます。
いじめ、美醜、成績、努力ではどうしようもない『なにか』が
この話のテーマではないかと思います。
ま、テーマなんでどうでもいいですね。
目に見えないドロドロとした黒いもの、
それをはっきりと文章のすき間から見せてくれる話です。
努力すればむくわれる。
よく言われる言葉です。
しかし多くのことが、努力ではどうにもならない面があり、
それをこの本でいやというほど見せつけられました。
特に『女であること』というワクから出られないということを、
桐野氏の本を読むたびに、いつもいつも強くつきつけられるのです。
いい本なのか?と聞かれたら
「女だったら一度絶対に読むべきだ」とわたしは答えます。
ちなみに男には読む必要がないかもしれませんね。
だって本当の意味で、女である『わたしたち』の考えや『なにか』を
分かることはできませんからね。
それでも読みたい、という度胸のある殿方にはもちろんおすすめです。
でもその本の向こう側にある、真っ黒な女の園に怖気づかないでくださいね…。
そんな桐野氏、わたしは大好きであります。
女であること、それを一番強く意識した本は
他にはない凄みがあります。
ヘタな恐怖小説読むくらいなら、
桐野氏の本を読む方がよっぽど怖いです。
いつもわたしは読む前に一度、「ふんっ」と
深呼吸して腹に力を入れてから読み始めます。
じゃないと本に負けて、読み終えた時にはぼろぼろに…。
さらにもっともっと、女のグロテスクに特化した小説がこちら。
『I’m sorry, mama』
暗い冬の夜に読む時にはご注意を。
足の先から毛の先まで冷えることうけあいです。
桐野氏、サイコー!